索引の出来・不出来

索引の出来には編集者の力量が現れる。 続きを読む

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4~6月に気になった心理学の本!

しばらくまったくブログを更新できていなかった。ツイッターは短くてポンポンかけるのだが,ブログだと落ち着いて書かないといけない気がしてしまう。まあ,ぼちぼちやります。 続きを読む

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編集部の引っ越し

来週から,編集部の場所が変わることになり,今週は引っ越し準備で編集部全体がおおわらわ。特に今日は総出で梱包や整理に追われました(所要があり,私は途中で抜けてしまったのですが)。

隣のビルに移るのですが,本社内の移動なので,編集部の住所等は変わりません。住所や電話番号が変わる部署もあるので,それに比べればたいしたことないのかもしれません。

他の業態を知らないのでよくわかりませんが,編集部なので紙の廃棄が大量です。古い資料や校正刷(ゲラ),そして資料用の図書や購読雑誌など。新聞の縮刷版もずいぶん前から残っている。縮刷版はいまは電子で提供されているので,そちらのほうがスペースも考えて現実的かもしれない。ただ高そうですが。もちろん,今後も使用するものはすべて持っていきます。それでもこれを機会に不要なものは廃棄しました。引っ越しでもしない限り,ものはなかなか減りません。スペースがあればあるだけ,ものは増える。でも5年も見ていない資料を,明日に見る可能性はだいぶ低い(なくはないのですが)。

退職した編集者から受け継いだ,あるいは「置いていった」資料もありました。歴史的発掘がいたるところで行われていましたが,やはり現存する人のものでなければ,「残そう!」ということはあまりないので,ほぼ処分しました。古い資料の中には,新しい所有者へと引き継がれたものもあります。私も1冊だけですが,古い本で長谷川鉱平『本と校正』中公新書,という本が処分されかけていたので,拾い出しました。岩波書店や中央公論社で,たぶん校閲をされていた方のようです。

古い本は味があっていいものです。電算写植が始まる前は,植字工さんが1文字1文字,拾ってつくっていました。ページを触ると文字がへこんでいるのがわかります。私は2000年入社なので(20世紀最後の年!),電算写植しか知らないですし,パソコンが1人に1台支給されていました。

インターネットで情報が入手できるようになり,日常的な連絡方法はメールとなり,組版ではDTPが多く用いられています。技術の進歩はすごいものがありまし,それらを活用する能力が編集能力の一部であることは間違いありません。新しい技術に慣れ,想定する読者の日常環境に適した提供方法を模索することも必要なことです。

しかしながら,情報環境の進展によって,本のクオリティ,そして本を読むという行為が格段に「進歩」したのかどうか,といわれると,そうでもない,むしろ簡単に本がつくられることで,じっくりと本づくりをすることが難しくなり,しっかりと本を読むことも少なくなっているのかもしれません。社会歴史的な必定でしょうが,本という媒体のよさとは何か,それを十二分にいかすにはどうしたらよいのか,ということにこだわることも大事なことのように思いました。

本は形として残ります。しかし,数十年後も読み継がれる本は,本当に少ない。しかし,ただ一瞬「消費」されるわけではなく,いま読まれる本があるからこそ,次の時代の本が生まれるのだと思います。いま読まれる本を,しっかりとつくっていく。そうしたサイクルのただなかで,私も現在,そして未来に意味のある仕事ができればよいなと思います。

ということで(脈絡がないですが),来週からは新しい職場で心機一転!

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14年目。

この4月で,編集者14年目に突入。編集部のサイトに「編集者5年生」を書いたのがだいぶ前のことです。

昨日,若手のメンバーと一緒に,今年入社した方と話をする機会があったのですが,入社の頃はずいぶん昔だなあと,あらためて感じました。一年目ってなに考えてたかなあ。あと、会社のメンバーも一変しました。

仕事を覚えるのは基本はOJTな訳ですが、執筆されている方からしても、読者からしても、新人でして中途半端な出来ですいません、とはいかないわけです。無論そうならないように、先輩たちがフォローして、クオリティを保ってくれていたのでしょう。

自分としては丸10年がひとつの区切りであったわけですが,それから3年経ったわけで。編集者人生が40年ほどとすると,3合目~4合目あたりです。これからの時間の方がまだだいぶ長いので,新しいことにもどんどん取り組んでいきたい。というか取り組んでいかなければ,編集者としてはやっていけないだろう。読者の関心や意識は変わるし、技術革新もあるし,新しい書き手もどんどん生まれてくる。

満然と過ごしていたベテラン編集者も過去には見かけた。その人たちはもういないけど、意識や技量の低さは一年目であろうとすぐにわかることだ。自分が今は見られる立場だ。

まあでも編集という仕事がしんどいと思ったことはなく、楽しんでやってこれているのはよかったと思う。これからもしっかりと歩みを進めていきたい。

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嘘つきの科学

じゃっかんタイミングを逸していますが,エイプリルフールということで嘘にまつわる本を…。それにしても,今日のweb上コンテンツはどれが本当かわからなくなるので,確認が面倒ですね。イカの電子書籍デバイス(いつまでサイトが残っているのかわかりませんが)とかも出てるし。

表情研究で有名なポール・エクマンが嘘に関する研究もしています。『顔は口ほどに嘘をつく』『暴かれる嘘―虚偽を見破る対人学』『子どもはなぜ嘘をつくのか』など。

『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』は評判になってよく売れていた覚えがあります。

すべての人は嘘をついたことがあるに違いありませんが,そうはいってもほとんどの人は「良心の呵責」を覚えるものです。いっぽうで,そうした「良心の呵責」をまったく感じることができず,平気で人を裏切り,攻撃する「サイコパス」という概念があります。犯罪心理学などでよく取り上げられるものです。サイコパス研究の権威,ヘアによる『診断名サイコパス―身近にひそむ異常人格者たち』があります。不勉強にして,さきほど調べて知ったのですが,ブレア『サイコパス-冷淡な脳』という本があるのですね。これは学術書としてしっかりしたもののようです。機会があれば読んでみたいと思います。

より幅広く嘘について扱ったものに,箱田裕司・仁平義明編『嘘とだましの心理学』は,さまざまな「嘘」にまつわる心理学的な研究を幅広く紹介しています。ポリグラフから押し売りにまつわる嘘,霊長類の嘘,嘘の認知,子どもの嘘,病的否嘘などなど。嘘という心理学現象に潜む,高度な心理的メカニズムの一端を見せてくれます。

研究書としては,村井潤一郎『発言内容の欺瞞性認知を規定する諸要因』,山村武彦『ポリグラフ鑑定―虚偽の精神生理学』など。

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『リスクの社会心理学』の感想

『リスクの社会心理学』の感想をtogetterでまとめていただきました。ありがとうございます。

「リスクの社会心理学」(中谷内一也編,2012)まとめと書評
「リスクの社会心理学」(中谷内一也編,2012)コラムのまとめと感想

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2013年3月刊行の気になった本

2013年3月刊行の気になった本を紹介します。

長崎勤・森正樹・高橋千枝編『社会性発達支援のユニバーサルデザイン』金子書房
「ユニバーサル・デザイン」とあるのですが,特に工学的なデザインの話というわけではなく,地域や学校の環境をどうつくっていくか,ということを発達の視点も入れながら,幅広く扱っているようです。

日本パーソナリティ心理学会企画,二宮克美・浮谷秀一・堀毛一也・安藤寿康・藤田主一・小塩真司・渡邊芳之編『パーソナリティ心理学ハンドブック』福村出版
上製箱入りの大きな本ですが,学会が(たぶん)総力を結集して制作したハンドブックですので,パーソナリティに関心のある大学院生や研究者の方にとっては必須の文献となるのでしょう。

ジョージ・A・ボナーノ著/高橋祥友監訳『リジリエンス――喪失と悲嘆についての新たな視点』金剛出版
逆境や悲嘆の中での打たれ強さを表す「リジリエンス」は注目されているようです。

日本発達心理学会編/田島信元・南徹弘責任編集『発達心理学と隣接領域の理論・方法論』発達科学ハンドブック1,新曜社
当初予定の6冊は刊行になったようですが,2011年の震災を受けて,第7巻『災害・危機と人間』が進行しているそうです。

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年間刊行スケジュール

本づくり自体には特別な事情はないのだが,所属している部署では年末,年度末に刊行する本が多くなる傾向にある。

年末は,その年までに刊行したい!,仕事を終わらせたい!という気持ちが働くからである。年度末は,大学テキストなどの場合に,4月から授業で使いたい,使ってもらいたい,という事情があるからである。私は経験がないのだが,助成を受けたりする場合に,年度末までに刊行すること,といった条件がある場合もあるようだ。後半の学期を見越して,9月頃を目指すこともあるが,まだ少ない気がする。

テキストの場合,実際には3月や4月に新刊として刊行しても,執筆者以外に広がることはなかなか難しい。むしろシラバスを記入する時期(秋から冬)までに刊行できるとよいのかもしれない。

また,年末や年度末に複数の本が重なったりすると,時間的な余裕がなくなり,身体的・心理的にも負荷がかかる(印刷所も込むし)。できれば分散するようにしたいところではある。

いったいろいろな事情を考慮して締切を設定したりするのだが,実際には締切通りにお原稿をいただけるとは限らない(という表現にしておきます)ので,結局ずれてしまうこともある。まあ,重なったときは,それはそれでやるしかない。むしろ暇な時期ができると,「今日は何をしようか」みたいになるので気分はよろしくない。さすがにいまはないですが,昔はあった。

年始には(実際には数か月前だが),今年はこの本を出そう,ということを考える。前半分はあまりずれないが,後半は見込みが入っているので,若干流動的ではある。予想外に早くお原稿がいただけたり,そろったり,またその逆も,ということもある。

ある程度予定を決めつつ,突発的なことが起きてもなんとかなるように,少し余裕をもたせていられるとベストですね。

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リスクに関連するその他の話題

中谷内一也編『リスクの社会心理学』には,リスクに関するコラムが各章にあるのも特徴です。リスクと人間社会を考える上で,幅広い視点が得られるかと思います。

いくつか関連のある書籍を紹介します。

『地球の声に耳をすませて-地震の正体を知り、命を守る』の著作があり,情熱大陸に登場されていた大木聖子先生にも,興味深いコラムをご執筆頂きました。

地球温暖化に関するリスクに関しては,『地球温暖化の予測は「正しい」か?―不確かな未来に科学が挑む』の著作がある江守正多先生にご寄稿いただきました。

リスクというと災害リスク,環境リスクや健康リスクに焦点があたりがちですが,犯罪リスクもリスク認知研究では重要なテーマで,コラムで取り上げられています。関連する書籍としては,小俣謙二・島田貴仁編 『犯罪と市民の心理学―犯罪リスクに社会はどうかかわるか』があります。

元読売新聞の科学部部長・編集委員で『環境ホルモン 何がどこまでわかったか』などの著作がある小出重幸先生には震災での政府や東電のコミュニケーションのあり方についてのコラムをご執筆いただきました。

震災時にはSNSやインターネットが活用されました。インターネットと心理学に関しては,三浦麻子ほか編『インターネット心理学のフロンティア―個人・集団・社会』があります。

また,直接扱われてはいないのですが,ヒューマンエラーや失敗学についてもリスクと心理に関連する重要な切り口だと思います。『事故と安全の心理学―リスクとヒューマンエラー』と畑村洋太郎『失敗学実践講義』を紹介しておきます。この領域は,他にも多くの本があります。

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リスクと社会,リスク・コミュニケーション

リスク認知の記事に引き続き,中谷内一也編『リスクの社会心理学』に関連して,リスクと社会,リスク・コミュニケーションに関する書籍を紹介します。

リスク社会論についてはベック『危険社会―新しい近代への道』『世界リスク社会論-テロ、戦争、自然破壊』あたりが基本文献のようです。が,あいにく自分では読めていません。

リスク・コミュニケーションについては,吉川肇子『リスク・コミュニケーション―相互理解とよりよい意思決定をめざして』,そしてやや一般向けに書かれた『リスクとつきあう―危険な時代のコミュニケーション』などがあります。

ほかに,小林傳司『トランス・サイエンスの時代―科学技術と社会をつなぐ』では,社会と科学技術の関係をつくるための新しい取り組みも紹介されています。科学技術社会論と呼ばれる領域と思います。

災害時の人間行動に関しては『生き残る判断 生き残れない行動』に,災害時に特徴的に顕在化する行動様式が紹介されています。また,『災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか』は,パニックを起こすのではないかと施政者が「誤解」する「エリートパニック」と,一方で現場では思いやりのコミュニティが形成されるという「災害ユートピア」といった現象が紹介されています。

リスクと信頼に関しては,中谷内一也『安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学』が一般向けに書かれていて読みやすいのではないかと思います。

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